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経済

2026年8月11日

RTS開業でシンガポール企業に危機感 JBへの消費流出、年間10億Sドル増も

 シンガポールとマレーシア・ジョホールバル(JB)を結ぶ高速輸送システム「RTS Link」が2027年1月に開業するのを前に、シンガポールの小売・飲食業界で危機感が高まっている。ウッドランズ・ノース駅とJBのブキ・チャガー駅を約5分で結ぶことで、物価の安いJBで買い物や食事をするシンガポール居住者がさらに増えると予想されるためだ。
 
 シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)、シンガポール小売業協会(SRA)が委託した調査によると、RTS開業後、シンガポール居住者によるJBでの年間支出は10億5,000万Sドル増加すると予測されている。一方、JBからシンガポールを訪れる人の支出も年間7億5,600万Sドル増えるとみられ、差し引きでは年間2億9,000万Sドルの消費流出増となる見通しである。
 
 特に影響が大きいと予想されるのが、食品・日用品、ドラッグストア、飲食、美容サービスなど価格差が比較しやすい業種である。JBではシンガポールより30~50%安く買い物できるとの利用者の声もあり、すでに顧客流出を感じている店舗もある。ウッドランズなど北部地域では、RTS開業による影響がより大きくなる可能性が指摘されている。
 
 シンガポールには約2万4,500の小売企業があり、その98%を零細・小規模企業が占める。賃料や人件費、仕入れコストが上昇する中、JBとの価格競争だけで顧客を維持することは難しく、サービスや利便性、独自商品の強化など事業モデルの見直しが求められている。
 
 一方、RTSはJBからシンガポールへの来訪者を増やす機会にもなる。専門家は、ウッドランズを飲食やイベント、ショッピングを楽しめる目的地として整備するなど、立地を逆に強みに変える必要があると指摘。RTS開業は国境を越えた消費行動を大きく変え、シンガポール企業の競争力が改めて問われる転換点となりそうだ。

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