2026年7月30日
若年層の過激化に警鐘 過去10年間で23人にISA適用
シンガポールで若年層の過激化が深刻な課題となっている。政府によると、過去10年間で14~20歳の23人が、テロ関連活動への関与や過激思想への傾倒を理由に、国内治安法(Internal Security Act:ISA)に基づく拘束命令(Detention Order)または行動制限命令(Restriction Order)の対象となった。最近では14歳、15歳、19歳の3人が相次いで拘束され、いずれもオンライン上で過激思想に感化され、シンガポール国内で襲撃を計画していたとされる。
内務省(MHA)および国内保安局(ISD)によると、この10年間でISAの対象となった23人の半数以上は国内での襲撃を企てていた。対象者の多くは自宅で単独で過激化した「セルフ・ラディカリゼーション(自己過激化)」の事例で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の思想だけでなく、極右思想や白人至上主義、反宗教・反LGBTQ思想など、さまざまな暴力的イデオロギーに影響を受けていたという。中には学校や礼拝施設、軍関係者などを標的とし、ナイフなど身近な道具を使った襲撃を計画していたケースも確認されている。
シャンムガム上級相兼国家安全保障調整相は7月27日、「自己過激化はより若い年齢で、より短期間に進行する傾向がある」と警鐘を鳴らした。SNSや動画共有サイト、オンラインゲーム、チャットアプリなどを通じて過激なコンテンツへ容易に接触できる環境が、若者の思想形成に大きな影響を及ぼしていると指摘。保護者や学校、地域社会が子どもの行動変化や過激な言動に早期に気付き、必要に応じて相談・通報することが重要だとしている。
これを受け、教育省(MOE)は学校での緊急対応訓練や教職員向け研修を強化し、過激化の兆候を見極める体制づくりを進めている。また、政府はインターネット上の過激派コンテンツの遮断や、若者を対象とした啓発活動にも力を入れている。
シンガポールではISAは国家安全保障を守るための重要な法律と位置付けられており、テロ行為を未然に防ぐ目的で裁判を経ずに拘束や行動制限を命じることができる。近年の事例は、過激化の脅威が特定の宗教や思想に限らず、インターネットを通じて多様化・低年齢化していることを示している。政府は「テロ対策は治安機関だけでなく社会全体で取り組むべき課題」として、家庭や学校、地域社会が連携しながら若者の過激化防止に取り組む必要性を強調している。


