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社会

2026年7月28日

シンガポール、車両保有制度見直しを求める声 次期交通マスタープラン策定へ議論活発化

 シンガポールで次期「陸上交通マスタープラン(Land Transport Master Plan)」の策定に向けた意見交換が進む中、自家用車の保有制度を見直すべきとの声が利用者から相次いでいる。陸上交通庁(LTA)が実施したフォーカスグループには400人以上が参加し、車両所有の公平性向上や公共交通の利便性強化など、多岐にわたる提案が示された。政府は年内にも具体的な政策案を公表し、さらなる国民意見を募集する方針である。
 
 車両保有制度では、特に自動車購入に必要なCOE(車両所有権証明書)の区分見直しが大きな議題となった。参加者からは、小型車向けのカテゴリーAと大型車向けのカテゴリーBを統合し、車両価格(Open Market Value)に応じて優遇措置や追加課金を設ける案が提案された。また、子育て世帯など実際の利用ニーズを考慮したCOE配分や、カーリース会社向けの専用カテゴリー創設、複数台所有者への追加課金、現在のオープンカテゴリー(カテゴリーE)の廃止なども意見として挙げられた。近年はメーカーがカテゴリーAに適合する仕様の車種を増やしており、本来の制度目的が薄れつつあるとの指摘もあった。
 
 一方で、自家用車への依存を減らすための施策も数多く提案された。参加者は、自転車道や屋根付き歩道の整備による「ラストワンマイル」の移動改善や、道路設計で歩行者と公共交通をより優先すること、子育て世帯でも利用しやすいカーシェアリングサービスの拡充を求めた。また、自転車や電動モビリティについては、安全性向上を前提に専用レーンや公共交通との接続強化を進めるべきとの意見も多く寄せられた。
 
 LTAは今回、視覚障害者や高齢者、子育て世帯など21種類の利用者の移動実態を調査し、それぞれが抱える課題も分析した。公共交通施設内での案内表示の改善や、安全な歩行空間の整備、利用者同士のマナー向上なども今後の検討課題として挙げられている。こうした調査結果を踏まえ、交通政策をより利用者目線で見直す考えだ。
 
 シンガポールでは、限られた土地資源を背景にCOE制度や車両割当制度を通じて自動車台数を抑制し、「カーライト(車に依存しない社会)」を長年の政策目標として掲げてきた。今回の議論では、自家用車の保有をより公平で実態に即した制度へ見直すべきとの声とともに、公共交通やアクティブモビリティのさらなる充実を求める意見が目立った。政府が今後まとめる新たな交通マスタープランは、都市交通のあり方や国民生活に大きな影響を与える重要な指針となりそうだ。

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