2026年1月27日
2030年までAI研究に10億Sドル超投資へ
シンガポール政府は、2025年から2030年にかけて累計で10億Sドル(約1兆円)以上を人工知能(AI)研究と開発(R&D)に投じる国家計画を進めると発表した。これは、デジタル経済の競争力を高め、社会課題の解決にもAI技術を活用する長期戦略の一環である。
政府関係者によると、この資金は基礎研究、産学連携プロジェクト、人材育成、先端インフラ整備に充てられる予定だ。特に大学や研究機関、企業との共同研究を促進し、医療・物流・環境・製造業など多様な分野でAI技術の実装と社会実装を図る。
計画の中心には、高付加価値の人材育成がある。AI研究者やデータサイエンティストの育成を支える奨学金、研修プログラム、留学支援などが強化され、学界と産業界の人材交流が進む。また、中小企業がAIを導入しやすくするための補助金や技術支援スキームも設けられるという。
政府は、AI技術の安全・倫理面にも配慮する方針を明確にしており、透明性や説明責任を確保するガイドライン策定にも資金を投入する。データ保護やプライバシー確保、偏りのないアルゴリズム開発など、社会的信頼を担保する枠組みの整備が進む。
関係省庁は、今回の投資計画が経済の中長期成長に寄与するだけでなく、シンガポールをアジアのAIハブとして位置付ける戦略的な意味を持つと説明する。アジア太平洋地域では、政府主導のAI戦略が進展しており、国際的な競争が激化している。
産業界からは歓迎の声が上がる一方で、「研究成果を実際のビジネスや公共サービスに結び付ける仕組みが重要」との指摘もある。大学やスタートアップ企業は、政府の支援を活用して開発力を高める方針だ。
今回の10億Sドル超の投資は、AIを国家競争力の核心技術と位置付けるシンガポールの長期戦略の具体化であり、2030年に向けた技術革新の加速が期待されている。

