2025年12月19日
シンガポールの主要輸出、11月に前年比11.6%増で2025年予想を上回る勢いに
シンガポールの主要輸出(非石油国内輸出=Nodx)が2025年11月に前年比で11.6%増となり、アナリスト予想を大きく上回る好調な伸びを示した。これは電子機器や医薬品といった主要品目の輸出が牽引した結果であり、2025年通年の輸出成長率が政府見通しを上回る可能性が高まっている。
11月の増加率は10月の改定された21.7%増から鈍化したものの、ブルームバーグ調査予想の6.8%増を大幅に上回る結果となった。特に、半導体やパソコンなどの電子製品に強い需要があり、米国向けを含む複数市場向け輸出が貢献しているという。
2025年初めから11月までの累計では4.8%増と堅調であり、シンガポール企業庁(Enterprise Singapore)は2025年通年のNodx成長率を約2.5%前後と予想しているが、11月の強い伸びにより通年で予想を上回る見通しが強まっている。
アナリストは、米国が今年にかけて段階的に発動した関税措置が予想ほど広範囲ではなかったことや、AI(人工知能)を背景とした技術需要の高まりが輸出を下支えしていると指摘する。ただし、2026年には関税影響の遅効性や世界的な貿易周期の減速が懸念材料として残るという見方もある。
この輸出の好調さは、シンガポール経済全体へのプラス要因とみられており、他の経済指標でも成長見通しが上方修正されつつあるとの分析も出てきている。輸出は製造業や貿易関連サービスなど幅広い産業活動を支える重要な柱であり、世界経済の不確実性を抱える中でも底堅い動きを示している。
総じて、シンガポールの主要輸出は2025年の予想成長を上回る勢いで推移しており、年末にかけて通年実績がどの程度上ブレするかが注目される状況である。


