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経済

2025年12月16日

シンガポール企業、2026年も賃金上昇は穏健3〜6%

 シンガポール企業は2026年の給与改定において、従業員の基本給を平均して3%〜6%程度引き上げる見通しであることが複数の人材会社の調査で分かった。これは2025年の見通しと同様に経済の先行き不透明感を背景に、企業が人件費の計画に慎重な姿勢を維持しているためとみられる。
 
 人材紹介会社ManpowerGroup Singaporeの報告によれば、2025〜26年度に給与増が3%未満となる企業の割合が21%に増加し、前年の18%から上昇している。一方で、5%以上の昇給を計画する企業の割合は23%と減少しており、企業側がコスト管理を重視している状況がうかがえる。調査は2025年10月に504社を対象に実施された。
 
 一部の人材会社AonやPersolの調査でも、2026年の給与予算は平均で約4.3%増と予想され、2025年とほぼ同水準となる見込みである。特にライフサイエンスや医療機器関連、AI(人工知能)、サイバーセキュリティなどの高度な専門性を要する職種では、競争力のある人材確保のために相対的に高い給与上昇が見込まれている。
 
 従来の雇用を維持する従業員に対しては、インフレ調整を目的に3%〜6%の昇給が提示される例が多いとされる一方、転職者は5%〜15%程度の昇給を受ける可能性があるとする分析もある。高度なスキルを持つ人材、特にAIやサイバーセキュリティ関連の職種では、さらに高い給与増が期待される分野もあるという。
 
 ボーナスについてはやや抑制的な動きが見られ、調査によると約45%の企業が1ヵ月分のボーナス、34%が1〜1.5ヵ月分、11%が1.5ヵ月以上を計画している。これは前年と比べて大幅な増加ではなく、企業が変動報酬を含めた柔軟な賃金構造を模索していることを反映している。

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