2025年12月4日
シンガポール、外国人パフォーマー就労制度を廃止へ
シンガポール人材開発省(MOM)は、外国人パフォーマーがバーやナイトクラブなどの公共エンタメ施設で短期就労できる「Work Permit (Performing Artiste)」制度を、2026年6月1日をもって廃止すると発表した。2008年に導入されて以来、約17年にわたって運用されてきた制度だ。
この決定は、最近の取り締まりで明らかになった制度の悪用を受けたものである。捜査では、営業実態のないシェル(形式上のみ登録された)公共エンタメ施設を通じ、外国人をパフォーマーとして一旦雇用し、その後別の施設で「フリーランス・ホステス」として働かせる不正が多数確認された。つまり制度本来の目的――合法的な短期出演――が逸脱されていたのである。
MOMは「制度はもはや当初目的を果たしておらず、継続は適当でない」と判断。廃止後は、新規の申請受付を停止する。一方、既に発給済みのパーミットを持つ外国人については、有効期限が切れるか取り消されるまで現状通り就労可能とする見通しだ。
公共エンターテインメント業界では、今後、外国人エンターテイナーを雇いたい場合は、従来のワークパーミットではなく、サービスプロバイダー経由や通常のワークパス制度を用いるようMOMは案内している。また、政府認定イベントや公開劇場では、必要に応じて短期就労を認める「Work Pass Exempt(免除)枠」が適用される可能性がある。
この廃止は、ナイトライフ産業や芸能関連ビジネスにとって大きな制度変更を意味する。MOMおよびSingapore Nightlife Business Association(SNBA)は、業界と協力しながら夜間経済のあり方を見直すとしており、今後どのような代替策や規制強化がなされるか注目される。


