マッサージ店「Wan Yang」、突如全店舗閉鎖で利用者に被害

　シンガポールのマッサージチェーン「Wan Yang Health Product and Foot Reflexology Centre」が、国内５店舗を予告なく一斉に閉鎖し、前払いパッケージを保有する利用者に2万9,000Sドル（約348万円）を超える未利用残高被害が発生していることが判明した。消費者団体Consumers Association of Singapore（CASE）は同社に連絡を取るなど、対応を開始している。
 
　CASEによれば、11月23日までに15件の苦情が寄せられ、購入済みパッケージが店舗閉鎖により使用できない状態となっている。閉鎖が確認された店舗はAMK Hub、HarbourFront Centre、Thomson Plazaなどで、店頭には「即時営業停止、清算手続きに入る」との通知が掲示されていた。
 
　利用者の証言によると、11月15日までは通常営業が行われており、スタッフからは「次回セッションの予約」や「回数券追加購入」を勧められていたとの声もある。しかし、予約日である11月21日に来店すると店は無人で、突然の閉鎖を知らされたという事例が複数寄せられている。
 
　CASEのMelvin Yong会長は「美容・ウェルネス業界における前払い方式のリスクが改めて浮き彫りになった」と述べ、政府に対し、同業界のプリペイド契約に５日間のクーリングオフ制度導入を義務化するよう提言した。利用者には、領収書や契約書、連絡記録を保管し、CASE（ホットライン：6277-5100）へ相談するよう呼びかけている。
 
　今回の閉鎖は、前払い型サービスに依存する美容・ウェルネス業界全体の構造的脆弱性を示す事案であり、今後、顧客保護の強化や制度見直しの必要性がさらに高まるとみられる。