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経済

2025年11月19日

リンギット上昇で越境消費に逆風 シンガポール人の節約志向強まる可能性

 マレーシアリンギットがシンガポールドルに対して上昇しており、1Sドル(約119円)で買えるリンギットは従来のRM3.30前後から RM3.19 に低下した。これにより、シンガポール人がマレーシアで日用品や食品をまとめ買いしたり、週末旅行に出かけたりする際のメリットが縮小し、越境消費が割高となりつつある状況である。
 
 市場関係者は、この水準が2025年いっぱい続く可能性が高いとみる。Maybank証券は2025年末の為替レンジを RM3.20〜RM3.30/1Sドル と予測し、2026年にはさらにリンギットが強含む可能性を指摘している。
 
 リンギット上昇の背景には、米国の利下げとマレーシア経済の回復がある。米連邦準備制度理事会(FRB)は2025年に2回の利下げを行い、資金が新興国へ流入した結果、リンギットはUSドルおよびSドルに対して上昇した。
 
 さらに、アンワル政権の投資促進策が2025年に本格化し、半導体、電気自動車、デジタル技術分野で規制緩和が進んだ。外資直接投資(FDI)は2025年第3四半期に RM85億と、第2四半期のRM16億から急増した。ジョホール州でもJS-SEZ(ジョホール・シンガポール特別経済区)を背景にデータセンターや先端製造分野の投資が増えている。
 
 経済指標も改善しており、2025年第3四半期のGDP成長率は 5.2% と第2四半期(4.4%)から上昇した。強い経済は通貨を押し上げる典型的な要因である。
 
 ただし、2026年の持続的なリンギット高には不透明要因もある。米国の利下げが遅れればUSドルが強含み、新興国市場から資金が流出する可能性がある一方、米マレーシア関係の改善や外資企業による外貨のリンギット転換など、追加の上昇要因も残る。
 
 専門家は当面、1Sドル= RM3.15〜RM3.17 での安定推移を想定しており、リンギット高の持続には株式・債券市場への資金流入が鍵になるとしている。

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