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政治

2025年11月13日

低賃金労働者に5.5〜7.5%の賃上げを提言

シンガポール全国賃金評議会(NWC)は11月11日、月収2,700Sドル以下の低賃金労働者に対し、5.5〜7.5%の賃上げを推奨する新たな年次ガイドラインを発表した。業績好調な企業は、最低でも105〜125Sドルの昇給を行うことが望ましいとしており、割合を上回る昇給も推奨している。業績が低迷している企業には、範囲の下限での引き上げを提案し、今後の業績改善時に追加調整を検討すべきとした。
 
この提言は、2016〜2024年の平均年収成長率4.2%および現下の経済見通しを踏まえたものである。人材省のン・チーケル事務次官は、特に事務支援業や飲食業など国内向け産業の生産性が遅れていると指摘し、「業界全体の変革が不可欠であり、それが賃金成長を支える」と述べた。
 
 NWCはまた、経営悪化時に柔軟に賃金調整できる「フレキシブル賃金制度」の全面導入を呼びかけた。現在、企業の約76%が年次または月次の変動給与制を採用しているが、前年の77.3%からやや低下している。
 
 ガイドラインは2025年12月1日から2026年11月30日まで適用され、公私を問わず全労働者が対象となる。拘束力はないが、政府は受け入れを表明しており、多くの企業が毎年これに準拠している。
 
 さらに2026年7月から、事務職およびドライバー職の職務記述と最低賃金水準を改定する。事務補助職の最低総支給額は1,980Sドルから2,170Sドルへ引き上げられ、2027年には2,360Sドルとなる。ドライバー職も4区分化され、基本賃金は現行の2,190Sドルから2,370Sドルに上昇、2027年には2,550Sドルへ増額される。
 
 一方で、企業による体系的な社員研修の実施率は2023年の79.6%から2024年には66.4%に低下。NWCはAIやデジタル化の進展を踏まえ、労使双方に人材育成とスキル向上への投資を強く求めている。

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