2025年11月7日
違法売春宿をマッサージ店と偽装して経営 中国籍女性に禁錮14カ月
シンガポールのカーペンターストリートにあるマッサージ店を装った売春宿を経営していたとして、中国籍の女性モー・シュエクイ(44)被告に禁錮14カ月の実刑判決が下された。発覚のきっかけは、従業員として働いていた性労働者が警察に通報したことだった。
警察が現場を急襲した際、客と性行為中の女性1人と退店する男性1人を発見。店内からはコンドーム入りの容器や「一緒にシャワーできますか」「キスしていいですか」などの文例が書かれた翻訳シートも押収された。
裁判記録によると、モー被告は2021年11月、男性に「利益の出ている美容サロンを買わないか」と持ちかけた。男性は2万5,000Sドル(約230万円)で同サロン(屋号Huixia)を買収し、被告を月給2,500Sドルのマネージャーとして雇用。さらに同住所で別会社「Xiao Xue」を登録し、外国人労働者を雇いやすくしていた。
中国から来星した女性従業員(Ms X)は、隔離期間終了後2日目にモー被告から性的サービスの提供を指示され、コンドームを渡されたと証言。さらに被告は「ウェブマスター」の連絡先を渡し、性的写真や料金を掲載させたという。
Ms Xは「やめたい」と申し出たが、退職には4,500Sドルの支払いを求められたため、金を稼ぐまで働かざるを得なかったと述べた。顧客1人あたりの料金は150Sドルで、そのうち50Sドルをモー被告が取り分として受け取っていた。
モー被告は「自分は単なるレジ係で、性的行為は知らなかった」と主張したが、裁判では彼女が翻訳シートを作成し、料金徴収も行っていた事実が示された。地裁のウォン・ペック判事は「被告は店の実質的な経営者」と認定し、被告の証言には多くの矛盾があり信用できないと結論づけた。一方でMs Xの証言は「率直で信頼性が高い」と評価された。
モー被告には2011年と2015年にも無許可マッサージ店の経営で有罪歴があり、さらに無許可外国人雇用の前科もある。検察側は16〜18カ月の懲役を求刑し、「被害女性は体調が悪くても働かされた」と指摘。判事は被告を違法売春組織の中心人物と認定し、14カ月の禁錮刑を言い渡した。
モー被告は現在、有罪判決と刑期に対して控訴中で保釈されている。


