2025年11月6日
シンガポールのセブンイレブン、店舗刷新で体験型コンビニへ進化
セブンイレブン・シンガポールは、従来の最後の買い物場所から脱却し、食と体験を楽しめる新しいコンビニエンスを提案している。中心業務地区のCapitaSpring店では、明るい内装に加え、スタンディングテーブルやスムージーマシンを設置し、パイやトースティーなどの温かい軽食を拡充。昼休みに立ち寄るオフィスワーカーの姿も多く見られる。
アヌシュリー・コースラ社長は「日本や韓国のコンビニは常に新しい商品があり、食を楽しめる場所。シンガポールの7-Elevenも発見のある店にしたい」と語る。目的は単なる利便性の提供ではなく、「スーパーでは出会えないワクワクを届けること」だという。
リニューアル店舗には、客が自分で氷やドリンクを混ぜるミックスドリンクステーションを設置。TikTokなどで流行する飲料ミックス体験をシンガポールでも楽しめるようにした。また、人気のブラインドボックス専用棚も導入し、アニメ『クレヨンしんちゃん』などセブン限定シリーズも販売。これにより「モノを売る」から「体験を売る」への転換を図っている。
フードメニューも強化され、ピザ、バーガー、サンドイッチ、マラおにぎりなど、ローカル嗜好に合わせた新商品を展開。小型店舗にはハイテーブル、大型店には座席を設け、食事ができる空間も増やした。
2025年末までに50店舗を改装し、2026年にはさらに50店舗を刷新予定。シンガポール国内約500店舗のうち、約2割が新デザインへ移行する見込みである。刷新後は売上と即食商品の需要がともに上昇しており、顧客からは「よりモダンで居心地が良い」との声が寄せられている。
また、2025年2月にはモバイルアプリを導入し、商品の事前注文・決済、在庫確認、割引パッケージ購入などが可能に。アプリは25万回以上ダウンロードされている。
コースラ氏は「トレンドの移り変わりが速い今、私たちは常に新しい体験を提供し続けなければならない」と語り、ドバイ発チョコレートバーの流行を素早く取り入れた事例を紹介。
セブン-イレブンを運営するデイリーファーム・インターナショナル(ジャーディン・マセソン傘下)は、コンビニを日常の発見の場へと再定義している。


