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社会

2025年10月31日

7歳男児がジャグジーで吸引事故

 シンガポール東部パシリスの高級住宅「シーストランド・コンドミニアム」で、7歳の男児がジャグジーの吸引ポンプに巻き込まれ、意識不明となる事故が発生。父親のジムン・ドウ・フン氏が、管理組合(MC)を相手取り過失による損害賠償を求める訴訟を起こした。
 
 訴状によると、事故は2025年2月22日に発生。男児は母親とジャグジーに入浴中、強い吸引力で水中に引き込まれ、脱出できなくなった。母親と通行人2人が救助を試みたが失敗し、ポンプが停止するまで水中に閉じ込められた。引き上げられた時には意識を失っており、蘇生処置と集中治療を受けたうえで17日間入院した。
 
 男児は心停止や脳浮腫、ジャグジーの排水格子による擦過傷で永久的な痕を負い、さらに化学物質を吸い込んだことによる肺炎症状(化学性肺炎)も発症。現在も治療を継続しており、家族はこれまでに約8万Sドルの費用を負担しているという。
 
 これに対し管理組合側は、設備管理は独立請負業者に委託しており、直接の管理責任はないと主張。代表弁護士K・アンパラサン氏(WhiteFern LLC)は、「安全維持は資格を持つ業者に合理的に委託されており、MCには過失はない」と反論している。
 
 MCは2018年からプール清掃専門会社と契約し、共用施設の保守を委任。ジャグジーには2つの排水口と緊急停止ボタンが設置されていたと説明している。また、「12歳未満の子どもは保護者同伴」との注意書きが掲示されており、居住歴6年の原告家族もルールを理解していたはずだと指摘した。
 
 一方、父親側は「安全吸引解除装置や湾曲型排水カバーが設置されていなかった」として、設計・管理上の欠陥を非難。緊急停止スイッチやAEDの設置義務を怠ったと主張している。
 
 今後、裁判所は管理組合の責任範囲、業者や保護者側の過失分担を含め、最終的な賠償責任を判断する。初回のケースマネジメント審理は2025年11月21日に州裁判所で行われる予定である。

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