2025年10月7日
シンガポール・マレーシア間の送迎サービス 取り締まり強化も一部業者が継続運行
シンガポールとマレーシアの間で、企業や個人向けに送迎サービスを提供する一部事業者が、法的リスクを承知のうえで運行を続けていることが明らかになった。2025年9月12日、シンガポール登録のトヨタ・ノアがトゥアス・チェックポイント通過後にマレーシア当局により押収された。車両は米系企業の職員をジョホールバル工場へ送迎するために利用されていたものである。
シンガポールのリムジンサービス会社の担当者は、「越境送迎は当社の主要業務であり、依然として大きな需要がある」と述べた。同社は裁判後に車両返還を求めているという。一方で、複数の多国籍企業は法的リスクを懸念し、越境契約を一時停止した。
現行法では、個人や企業によるチャーター車での越境移動は認められておらず、許可を受けたタクシーやバスのみが運行可能である。マレーシア登録車がシンガポールで乗客を有料送迎した場合、最高3,000ドルの罰金または6ヵ月の禁錮刑、車両没収が科される可能性がある。
こうした中、シンガポール陸運庁(LTA)は7月以降、無許可運行を厳しく取り締まり、10月初旬までに計102台の外国車を押収した。LTAは「無許可運転手は必要な免許も乗客保険も有していない」と警告している。
両国政府は越境交通制度の改善に向けた協議を続けているが、現時点で新たな合意はない。マレーシア側では7人乗り車両を含む合法的な越境ライドサービス導入を求める声が上がっており、ジョホール州政府も新たな乗降地点設置を提案している。


