シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポール主要銀行、10月15日から新たな詐欺防止措置導入

金融

2025年10月6日

シンガポール主要銀行、10月15日から新たな詐欺防止措置導入

 シンガポールの主要銀行は、オンライン詐欺被害を防ぐため、10月15日から全デジタル取引に新たな安全対策を導入する。対象となるのはDBS、OCBC、UOB、シティバンク、HSBC、メイバンク、スタンダードチャータードの7行である。
 
 銀行協会(ABS)は10月3日、「顧客が詐欺に巻き込まれるリスクを減らすため、一定の条件を満たす取引は24時間保留、もしくは即時拒否される」と発表した。新制度の対象は残高5万Sドル以上の普通・当座預金口座(共同名義口座を含む)で、銀行が短時間で口座資金が急速に引き出されていると判断した場合に発動する。
 
 この保護措置は、モバイルアプリやインターネットバンキングを通じた全デジタル取引に適用されるが、支店やATMでの現金引き出しなどの非デジタル取引は対象外となる。
 
 具体的には、24時間以内の出金合計額が口座残高の50%を超える場合、その時点で該当取引およびそれ以降の全取引が24時間保留、または拒否される仕組みである。正当な取引でも遅延が発生する可能性があるため、顧客には時間に余裕をもった送金計画が求められる。
 
 ABSのオン=アン・アイ・ブーン理事は、「詐欺は依然として社会全体の脅威であり、手口はますます巧妙化している。今回の措置は、被害者が被害を認識して取引を取り消す時間を確保する重要な“社会的安全弁”となる」と述べた。
 
 保留または拒否された取引については、顧客に即時通知が送られ、確認手続きが案内される。24時間の「冷却期間」中に本人確認を行えば、正当な取引は処理可能となる。
 
 なお、公共料金の支払い、定期的な口座引き落とし(Giro・eGiro)はこの制度の対象外である。今後はさらに追加の対策として、デジタルトークン利用者が銀行からの正規電話であることを確認できるアプリ内通知機能なども導入予定だ。
 
 2025年上半期、シンガポールでは詐欺被害額が計4億5,640万Sドルに達し、報告件数は約2万件に上った。銀行協会は「顧客一人ひとりがSMSやメール内の不審なリンクを避け、個人情報を共有しないことが最も重要だ」と呼びかけている。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポール主要銀行、10月15日から新たな詐欺防止措置導入