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経済

2025年9月1日

シンガポール企業、賃金凍結の動き拡大

 シンガポール経済の先行きに対する懸念が強まるなか、企業の間で賃金凍結の動きが広がっている。シンガポール経営者連盟(SBF)が8月28日に発表した調査によると、今後1年間に賃金を据え置くと答えた企業は41%に達し、前年の35%から上昇した。給与を引き上げる予定の企業は59%にとどまり、2024年調査の64%から減少した。
 
 賃金凍結の傾向は特に中小企業で顕著であり、43%が凍結を予定する一方、大企業では28%にとどまる。過去1年で給与を引き上げ、今後も継続する企業は全体の半数強で、銀行・保険業や製造業が主導する。一方、不動産業や建設業では凍結の意向が強い。
 
 事業環境に対する満足度は33%に低下し、今後12ヵ月の見通しも悪化が予想されている。人件費上昇は依然として最大の課題だが、指摘する企業は65%と前年の75%から減少した。一方、人材の再教育・技能習得の難しさを課題とする企業は47%に急増した。
 
 採用意欲も弱まっており、今後1年で人員増を計画する企業は36%にとどまる。ただし大企業では改善傾向が見られ、41%が採用拡大を見込む。これに対し、中小企業は42%から36%へと低下した。
 
 低賃金労働者への対応では前向きな姿勢も示されており、66%の企業が今後1年間に賃上げを行うと回答した。全国賃金評議会(NWC)の推奨賃上げを採用した企業は57%に増加したものの、進歩的賃金モデル(PWM)の採用率は32%と前年の39%から低下した。コスト負担や研修時間の確保が導入の障害となっている。
 
 調査結果は、景気減速懸念の中で賃金政策や採用戦略に慎重さが増す一方、低所得層支援や人材育成の重要性が一層高まっていることを示している。

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