2025年8月26日
ナイトスポット、午前4時営業延長開始も利用者の反応は限定的
シンガポールのボートキーおよびクラークキー地区で、飲食店やナイトクラブが木曜・金曜に限り午前4時まで営業できる試行制度が8月22日から始まった。これは歴史あるナイトライフ地区の活性化を目的とした1年間のパイロット事業であり、16年間停止されていた新規バー・クラブの営業許可も再開される。既に警察は6件の延長申請を承認しており、大手運営会社キャピタランドによれば、ズークやオクタパスなど10以上のテナントが営業延長を申請している。
経営者らは「追加の1時間が数千ドルの売上増をもたらし、雇用拡大にもつながる」と歓迎の姿勢を示している。長年顧客から求められてきた延長営業は、パンデミック後の収益回復に資するとの期待もある。
しかし利用者の反応は鈍い。取材に応じた若年層の多くは「深夜の配車アプリ料金が高すぎる」「自宅で飲む方が安く快適」と語り、実際に週末でも深夜0時を過ぎると人出は急減した。午前1時以降は大半の店舗が静まり返り、観光客や一部の若者が残る程度であった。
また、消費者行動の変化も指摘される。30代の女性は「かつては平日も午前4時まで遊ぶのが普通だったが、若い世代はデジタル世代でクラブ文化を経験しておらず、熱量が違う」と述べた。
こうした課題に対応するため、キャピタランドは深夜2時以降の帰宅客向けに配車アプリGrabの割引を導入し、利用促進を図る。
業界関係者は「顧客に延長営業が定着するには時間がかかるが、長期的にはエリアの再活性化につながる」としており、今後の動向が注目される。


