2025年8月18日
公共交通での電子たばこ取締り強化 政府、薬物問題として厳罰化へ
シンガポールの陸運庁(LTA)とSMRTは8月18日、公共交通機関における電子たばこ(ベイプ)取締りを強化すると発表した。駅員やスタッフが巡回を強め、違反者は施設から排除され、場合によっては警察に通報する。酩酊状態で発見された者も対象となる。近年、MRTやバス車内で若者や兵役中の男性がベイプを吸う映像が拡散し、社会問題化している。レイクサイド駅では職員に電子たばこ使用を注意された男性が暴行する事件も起きた。
SMRTは声明で、公共交通でのベイプは違法であり、違反者は直ちに当局に通報すると強調した。駅構内には最高2,000Sドルの罰金を明記した警告掲示も設置されている。
こうした背景を受け、ウォン・ローレンス首相は8月17日のナショナル・デー・ラリー演説で、電子たばこを薬物問題として扱い、より厳格な処罰を導入すると表明した。ベイプは単なる吸入器であり、実際には依存性や危険性の高い成分、特に医療用薬品エトミデートが含まれるケースが増加していると警告した。エトミデートは本来医療行為で使用されるが、吸引すると痙攣や呼吸困難、精神錯乱を引き起こす恐れがある。
政府はすでに学校や軍を含む全国的な啓発活動を展開し、厚生省(MOH)や内務省(MHA)が中心となり、全省庁的な対策を進める方針である。エトミデートは暫定的に麻薬乱用法に基づく規制対象とされ、販売者には禁錮刑を含む重罰が科される見通しだ。違反者の一部は既に調査対象となっており、強制的なリハビリ措置も導入される。
政府はまた、禁煙支援プログラム「I Quit」を通じ、希望者には罰則を免除して支援を提供するとしている。ベイプ禁止が従来の罰金措置だけでは不十分となり、社会全体での厳しい対応が始まったといえる。


