2025年8月12日
Keppel、M1通信事業を14.3億SドルでSimbaへ譲渡
2025年8月11日、Keppel Corporationは子会社M1の通信事業を、オーストラリア上場のTuas傘下Simba Telecom(旧TPG Singapore)へ、企業価値14.3億Sドル(負債込み)で売却することを発表した。これにより、Keppelは同事業への83.9%出資分について、約10億Sドルの現金収入を得る見通しであるが、同時に会計上2.22億Sドルの損失も見込んでいる。10億Sドルの資金は、債務削減や株主還元、新たな成長機会に活用される予定である。なお、KeppelはM1の情報通信技術部門(ICT)データセンターや海底ケーブルについては引き続き保有し、成長分野へ経営資源を集中させるという戦略を鮮明にした。
この売却によって、Simba TelecomはM1の通信事業を統合し、両社のシナジーを活用して市場競争力を強化する見通しである。それは、デジタル市場における迅速性と革新性を兼ね備えた、新たな存在を生み出す可能性を秘めている。
この発表を受け、シンガポールの大手通信各社の株価にも反応が出た。Singtelの株価は約1.3%下落し、StarHubは約4.9%低下した。これは、M1の売却先が市場予想と異なりSimbaだったことがサプライズとなったためである。
今回の取引は、規制当局であるインフォコムメディア開発庁(IMDA)の承認を経て、数ヵ月以内に完了する見通しである。競争環境への影響についてIMDAが「著しい競争抑制が生じない」ことを条件とするだろう。さらに、Simbaの親会社Tuasは、今回の買収資金として4.16億AGドル(約3.48億Sドルに相当)を増資およびシェア・パーチェス・プランで調達する計画である。


