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インドネシア

2006年1月23日

椰子の葉がまねく島「マナド」

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シンガポールから空路で3時間20分、フィリピンにも程近いスラウェシ島の北部にマナドはある。ミナハサ州の州都でインドネシアの最北に位置する。豊富な種類の珊瑚や熱帯魚、世界有数のダイビングスポットで1500mのドロップオフをもつブナケン島を擁していることからマナドの名は広く知られている。マナドでのダイビングを計画している読者、またそうでなくスラウェシの大自然を目指す読者へ、AsiaXが一歩踏み込んだマナドの魅力を伝えよう。

15世紀の大航海時代、ポルトガルの支配下にあり、後にオランダ東インド会社の植民地として栄えたマナドは、約20万人の人口の90%がミナハサ人を中心としたキリスト教徒である。他のインドネシアの町と異なり、そこここに教会が建ち、サロンを腰に巻く人もなく、日曜日には着飾ったミナハサ人が礼拝に向かう。モスクや仏教寺院も無論あるが、その町並みに違和感無く溶け込んでいる。モンゴル系の中国人、ポルトガル、オランダなどのヨーロッパ人と現地人の混血が進み、マナドは色の白い美人の産地としても知られる。複雑な歴史を持ちながら、それを淘汰してきたこと、火山がもたらす肥沃な土壌がもたらす富のせいか、人々は皆明るく歌や踊りが得意なお祭り好きな民族のようだ。他の地域であるような宗教紛争とも無縁のマナドは、外から訪れる者も素朴な笑顔で迎え、大都市にない平和な空気を感じさせる。

ミナハサ高原 ― 陸のマナドの美しさ

トモホン村

02標高750mのミナハサ高原の入り口に位置し、年間平均気温22~24度の過ごし易い地方で、マナドの裕福層の別荘地としても名高い。人口約5万人程度だが、死火山のロコン山(1580m)とマハウ山(1311m)の裾野には多くの農産物、色とりどりの花木が栽培され、別名花の町と呼ばれる。前述の山々にはクレーターの湖があり、ガイドをつけてトレッキングで上ることもできる。

リノー湖

03日本の五色沼のような硫酸濃度の高い美しい湖で、35ha程の大きさ。日光と時間によって、エメラルドグリーン、ターコイズ、ピンク色とその色を変化させる。湖の片側は、強い硫黄臭と共に蒸気が吹き上げ、水面にも無数の泡が立っている。

 

トンダノ湖

4278haあり、シンガポールと同じくらいの大きさをもつというカルデラ湖。周囲の農村風景や山々の斜面も美しく、ここで採れる鯉などの淡水魚が湖畔のレストランで食べることが出来る。

その他、ピーナツ生産地として有名なカワンコアン村、焼き物で知られるブルタン村など車をハイヤーすれば一日で周ることが出来る。途中、この村々を豊かにしたスパイス、チエンケ(クローブ)のプランテーションを抜け、第二次世界大戦時に日本軍が作ったいくつもの防空壕などをみながら進むことになる。また、オーストラリア種とアジア種の動植物を分けるウォーレス線が通っているところなので、珍しい動植物の宝庫でもある。親指ザルとして知られる全長20cmほどのタルシウスなどを見に出かけるのもいいだろう。

マナドクローズアップ

04今回の旅での一番の出会いは、トモホン村出身のコロンピス夫妻が取り組んでいるプロジェクトだった。コロンピス夫妻は、ジャカルタでのビジネスの成功の後、故郷の発展のために私財を投じることを決め、まずロコン山の麓に私立高校を建てた。大都市のそれに勝るとも劣らない設備を持ち合わせ、教師も欧米各国から招聘するほどで、インドネシア国内はもとより、パプアニューギニアなどからの留学生も受け入れている。現在は、326名の学生達のキャンパスとなっている。

05夫妻の地元への貢献とキリスト教信者としての献身と感謝の意を表するにはそれだけにとどまらない。ロコン山と向かい合う丘に、ゴルゴダの丘を自ら磔にされる十字架を背負ったキリストが上って行くみちのりを辿る「悲しみの道(ビアドロローザ)」を再現しようというのだ。インドネシア人の建築家イドリス・サマドと、シンガポールではセントメリー・アンド・エンジェルズ教会の宙に浮かぶキリストの彫刻の美しさで知られるアーティストのテグー・オステンリックがその具現化を担っている。現在のイスラエルに残されている「悲しみの道」と同様の14の場面があり、荒いテキスチャーのブロンズ彫刻が1kmの道のりに挿入されている。ヤシの木程の太さはある竹がうっそうとジャングルのように茂り、白亜紀からあるような自分の背の数倍はあるシダのキャノピーをくぐって行く。イスラエルにあるそれは、乾燥した砂岩色の建物や教会の脇にあるわけだから、澄んだ空気と濃い緑にかこまれたマナド版「悲しみの道」ビアドロローザは、むしろ哲学の道を歩くような仏教的な瞑想を誘う。それを「スピリチュアルトレッキング」と呼ぶテグー氏の表現がぴったりくる。ここを訪れる人は、時に立ち止まり祈りを捧げ、足を清流に浸すことも出来る。丘を上り詰めると、キリストが磔の後、復活するというプロセスをなぞるが如く、自らが再生するような美しい景観が望める頂上にでる。

06そこにはイドリス氏が葉脈を模したドームを担ぐ教会が建てられるという。なるべく自然の景観を損ねないように山道を切り開く苦労もさることながら、既に出来上がっている石のタイルが引かれた階段や道の完成度の高さに驚く。ライティングのための電線の敷設にも余念がない。「タイルから彫刻の材料に至るまで、全てインドネシアのものを使っています。また、現地の労働者はこのプロジェクトに携わることで新しい技術を身につけています。彼らの技術は、今後シンプルで意匠のない家や公共の建物に活かされて行くことでしょう。」とイドリス氏が語る。

私立高校の設立もふくめ、今有るものを破壊することなく、現状に甘んじがちなローカルの現代化を未来に繋げる形で推進するプロジェクトだといえるだろう。3月末に完成を予定し、9月14日の十字架称賛の日に祝典が行われる。混雑を避けるため、予約制にて 一般公開される予定。

キマバジョKima Bajo

07昨年オープンしたばかりの滞在型ブティックリゾートがこのキマバジョ。空港から車で20分というのが信じられないほど静かでゆったりとしたリゾートだ。マナドに最初に訪れたポルトガル人を迎えたウォーリーベイの2kmの海岸線を有し、西向きの海に面した丘の斜面にビィラを抱く。敷地内にあるヤシの木などの木々は、リゾートが建つ前から有るもので、リゾートの構造に美しく活かされ、心地よい潮風に吹かれている。 19あるビィラは、ダークカラーの家具でまとめられ、インテリアは生成りをベースに落ち着いた色合いで統一されている。バルコニーから海がみえれば、部屋からサンセットも楽しめるはず。天蓋付きのベッド、屋外シャワーとバスタブなどゆったりした滞在を約束してくれる。家族連れには、二部屋続きにすることもできるロングハウスがお勧め。全部で12部屋あり、フロントにも近く、何かと便利だ。 オープンエアのレストランで幻想的な夕日をみながら、新鮮なローカル料理を頂けば、マナドの大自然に抱かれ至福の時を味わえるだろう。

オデッセイダイバーズ

08リゾート内にあるダイブショップ。ダイバーのニーズに合わせて毎日ツアーを行っている。ホテルの前の海は既にソフトコーラルが豊富なリーフになっており、ブナケン島などのダイブスポットにも近い。常駐ではないが、日本人のダイブマスターがいるのも心強い。宿泊のできるダイブトリップ用のクルーザーも六月頃用意される。

マヤナスパ

09竹林の中の一軒家のようなスパ。バスルーム付きの海の見える個室、カップルで利用できる部屋はもちろん、海を望むガゼボを指定することも出来る。インドネシアの伝統的なマッサージやアロマテラピー、マナド産のアボカド、米、コーヒーをつかったフレッシュなボディパックやスクラブなどが選べる。セラピストはジャカルタでトレーニングを受けているので、技術の方は確か。ダイビングやトレッキングで疲れた体をしっかり癒してくれる。

シラデン・リゾート&スパ

マナドからボートで30分程度のシラデン島にあるブティックリゾート。 敷地を敷き詰める白砂とハウスリーフに囲まれて楽園のようなセッティングの中に、独立式のコテージが並ぶ。のどかな漁村が近くに有るので、漁民達の様子も垣間みれる。リゾートでは全食事付きで、イタリア人経営というだけあり、食事の方もなかなかのもの。ブナケン島の隣にあるので、有名なダイブスポットやシュノーケリングにも10分程度でアクセスできる。イルカの群れに遭遇できるという幸運も期待できる。ダイバーだけでなく、家族連れやカップルも心行くまでプライベートな時間を楽しめる。また、本格的なインドネシアスパが隣接されているの嬉しい。 マナドの山々や自然を満喫したあと、海のマナドへ移動するというのも妙案かも。

 

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.067(2006年01月23日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春

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