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社会

2019年11月28日

抗生物質の早期打ち切り、早期退院など総合病院で成果

 
シンガポール総合病院(SGH)で抗生物質の不要な投与を早めに打ち切り、入院日数が少なく済むなどの成果が出ている。年間100人余りの患者が従来方法より7日半早く退院しており、入院治療費1万1,000Sドル(約87万8,000円)の節約にもなった。
 
 SGHに入院する患者は年間8万人で、半数は抗生物質を投与されるが、全員が細菌感染しているわけではない。
 
 細菌感染しているかがわかるまで通常3日かかる。このため医師は、細菌感染の疑いがある場合は判定が確定するまで抗生物質の投与を継続するのが一般的だ。
 
 患者の3分の1は多様な菌に有効な広域抗生物質を処方されるが、これは腸内細菌のバランスを崩すため患者は下痢になるケースが多く、肝臓、腎臓への悪影響があり、血小板の減少も招きかねない。
 
 SGHでは薬剤師を中心とする専門のチームが、患者に細菌感染があるかを入院から24時間以内に精査する。抗生物質が不要と判断された患者は、入院した日の1回の投与だけで投与を打ち切るよう、チームは担当医師に勧告する。年間130万Sドル(約1億400万円)の節約になり、患者も抗生物質の副作用を受けず、回復も早く、早期退院が可能になるという。
 
 ほかの病院は入院から3日間、細菌感染のあるなしが確定するまで抗生物質を投与している。しかし抗生物質に対して耐性を持つ細菌のリスクが増す。
 
 SGHのアンドレア・クワ准教授のチームが2010年から14年までの入院患者の事例を調べ、報告書にまとめた。報告書は医学誌に掲載された。

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