これまでと違う未来への備えを、首相独立記念日メッセージ

 
　リー・シェンロン首相は8月8日、チャンギ空港の新商業施設「ジュエル」で国民に向けた恒例のメッセージを発表。未来はこれまでとは大いに異なったものとなるとし、国民に備えを呼び掛けた。
 
　リー氏は、超大国間のあつれきが増すことで、貿易やグローバル化に圧力がかかるとし、また地球温暖化による海面の上昇は、生存を脅かす問題だと指摘。「シンガポールもこうした問題から免れることはできない。サプライチェーンは途絶し、貿易パターン、投資の流れも変化する。こうした変化に対する備えが必要だ」と訴えた。
 
　リー氏はシンガポールの歴史に触れ「苦難に直面する度、われわれは立ち上がり、ともに苦難を乗り越えた。その度ごとに経済を、街を再建し、再び繁栄の道を歩んだ。この先も同様でなければならない」と述べた。
 
　これまで建国記念日メッセージで経済成長率予想を発表していたが、今回、リー氏は具体的予想を示さなかった。今後の具体的施政方針では、就学前教育と高等教育を、特に低・中所得層向けに手頃な料金にする。定年と再雇用の上限年齢を引き上げる。詳細は18日に開催の独立記念日大会で発表する。
 
　締めくくりに当たりリー氏は、遠い土地から初めて移民した先人のように勇猛果敢で、また戦争と占領を耐えた建国世代のように強靭であれ、と国民に呼び掛けた。