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社会

2019年7月25日

宗教的調和法を30年ぶりに改正へ、時代の変化に対応

 
 シャンムガム内相兼法相は7月24日、1990年に施行された宗教的調和維持法を改正すると発表した。案の策定に際し、一般市民から意見を募集する。
 
 アイデンティティー政治やヘイトスピーチがソーシャルメディアで広がりを見せていることから、改正の必要性を認識したという。アイデンティティー政治とは、社会的不公正の犠牲になっているジェンダー、人種、民族、性的指向、障害など特定のアイデンティティーに基づく集団の利益を代弁する政治活動を指す。
 
 内務省および政策研究所主催の、宗教、過激主義、アイデンティティー政治に関するフォーラムでシャンムガム氏は「多様な宗教団体の関係者と既に話し合いを持った。全員、政府が目指す方向に同意するとの意見だった」と語った。
 
 現行法はリー・クアンユー初代首相の発案になるもので、宗教間の不和を煽る行為を制止できる。これまで幾度か発動されかけたことがあるが、実際に発動されたことはない。
 
 シャンムガム氏は、法が存在していることが社会を律しており、一線を超える者を許容しないとの政治的意思の表明になっていると語った。改正案は、「宗教に対し軽蔑的発言を行う者に効果的に対処できる」と「政治目的の、あるいは政府転覆を狙いとした宗教の利用を防止」が柱となる。

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