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経済

2019年7月9日

世界を後背地に、通産相が企業の海外進出を奨励

 
 チャン・チュンシン通産相は7月8日の国会で、経済成長をどのように維持するかとの議員の質問に対し、シンガポール企業は狭い国土の制約の中だけで活動するのでなく、広く世界を勢力範囲に活躍すべきと、一段の海外進出を促した。
 
 国土の制約を離れることは、国内で生産される財、サービスの付加価値の総計である国内総生産(GDP)という従来のパラダイムを打ち破る1つの方法だという。また、経済を成長させるためには国民総生産(GNP)に関心を向けるべきだと述べた。GNPは一定期間に国民によって新しく生産された財、サービスの付加価値の総計で海外所得が含まれる。ここでいう「国民」は国内に居住する個人および企業などの組織を指す。
 
 チャン氏は次期首相が確定しているヘン・スイーキアット副首相・財務相の片腕。次期選挙の後は重要閣僚就任が確実視されている。
 
 シンガポール企業は長く国内志向の時代が続いたが、リー・クアンユー初代首相の鶴の一声で海外進出が始まった。当初は米国などに進出したものの成果はなく、その後、なじみのある周辺国への進出に軸足を移したいきさつがある。
 
 チャン氏は、シンガポール経済に中長期的影響を与える可能性のある変化にも言及した。その1つが、法人税に最低水準を定める新たな国際ルール案で、シンガポールの競争力に影響するという。GAFAと呼ばれる米IT大手などが低税率の国・地域に利益を逃す課税逃れを防ぐのが狙い。ドイツのショルツ財務相らが国際社会に提案している。

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