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経済
金融

2019年7月4日

欧州の銀行がシンガポールで続々起債、自己資本強化で

 
 欧州の銀行によるシンガポールでの自己資本強化のための、起債による資金調達が増加している。今年上半期の起債額は28億2,500万Sドル(約2,244億円)で、昨年通年の19億5,000万Sドル(約1,549億円)を既に上回った。
 
 ここ3カ月では、仏ソシエテ・ジェネラル、クレディ・スイス、英系スタンダード・チャータード銀行がそれぞれ7億5,000万Sドル(約596億円)を調達した。
 
 特に多いのがバーゼルⅢでその他ティア1資本として認められるAT1債での資金調達で、上半期の調達のうち22億5,000万Sドル(約1,788億円)がAT1債だった。
 
 AT1債は元本毀損リスクや、発行体の裁量による利払い停止リスクがある高リスクの銀行債で、バーゼルⅢ対応型ハイブリッド証券の一つ。
 
 スタンダード・チャータードの債券担当取締役、バレリー・リー氏は「シンガポールドル市場は米ドル、ユーロ、英ポンド市場に次ぐ4番目のAT1債の市場に浮上した」とコメントした。
 
 通貨スワップレートが欧州の発行体にとり都合が良いことがシンガポールでの起債増の一因だ。AT1債は投資家の人気が高く、スタンダード・チャータードの募集に対し応募は3倍強の25億Sドル相当で、同銀は利率を当初予定の5.75%から5.375%へ引き下げた。
 
 AT1債の購入者はプライベートバンクが多い。

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