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2019年5月10日

二酸化炭素からメタンを合成、IHIと科学技術庁が成果

 
 IHIはシンガポール科学技術庁(A*STAR)傘下の化学・基礎工学研究所(ICES)との共同プロジェクトで、二酸化炭素からメタンを合成できる反応器システムの開発に成功した。鍵は特殊な触媒で、二酸化炭素と水素を原料にメタンを合成する。メタンは、ガス火力発電所の燃料として利用される液化天然ガス(LNG)の主成分。
 
 IHIとICESは5月10日、石油化学工場が集積するジュロン島でデモンストレーション用反応器を公開。IHIの鎌田博之上席研究員は、シンガポールと日本で商談を持っていることを明らかにした。IHIは排煙から二酸化炭素を固定化する技術を既に持っている。この触媒技術はさらに一歩を進めたもので、大量の二酸化炭素を排出する火力発電所に有用と考えられる。IHIは大型化に向けた研究を行っており、来年には商品として売り出す見通しだ。
 
 IHIとA*STARとの提携は初めて。2011年後半、IHIが触媒開発でA*STARに助言を求めたのがきっかけだった。
 
 触媒としてニッケルが最適だが、硫黄など不純物による汚染、温度上昇などの問題が立ちふさがった。ICESはニッケルをナノ粒子にし、これを多孔性シリカ基盤の殻に閉じ込めた触媒を開発した。劣化要因を抑制でき、触媒の寿命が延びるという。

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