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政治

2018年2月21日

予算案:炭素税を19年から導入、税額は1トン5ドル

ヘン財務相は予算案上程に際する税制発表で、炭素税を2019年から導入すると発表した。炭素税は化石燃料の炭素含有量に応じて、国が企業に課す税金。税額は23年までの5年間が1トン当たり5ドル(約406円)で、その後は見直し、30年までには10~15ドル(約812~1,219円)にする。

 

 最初の5年間で政府が得る税収は10億ドル(約812億円)弱の見通しだが、政府は同期間、エネルギー効率の改善、排出削減における企業支援で、これ以上の額を支出する。

 

 炭素税納入の義務が生じるのは、発電、石油化学、半導体部門の約40社。発電会社への課税が個人消費者に全額転嫁された場合、電気料金は1%上がることになる。

 

 シンガポールの温室効果ガス排出量(二酸化炭素換算)は4,900万トン(12年実績)で、産業界が59%を占めた。

 

 炭素税導入前の産業界との協議では、エネルギー効率が高い企業の税額は少なくすべき、との意見が出されたが、効率の高さの基準設定が複雑との理由で採用されなかった。政府は企業による省エネ機器、技術の購入を資金面で援助する。

 

ETFの配当課税、REITと同じに
不動産投資信託(REIT)に投資する上場投資信託(ETF)に対する税処理がREITと7月1日付で同じになる。

 

 現在、REITからETFへの配当には17%の源泉課税が適用されているが、本来ETF投資家への配当は非課税。現在は直接REITに投資した方が、ETFに投資するより得という状態にある。

 

個人に対するREITからの配当は非課税で、外国人投資家(法人)は10%の低い税率を享受している。

 

スタートアップ税制を微調整、控除枠を縮小
新進企業支援では、スタートアップ税控除(SUTE)の適用を受ける新スタートアップは、20査定年度(19年の所得に課税)より、最初の課税所得10万ドル(約812万円)について、75%(現行100%)が控除される。次の10万ドル(約812万円)(現行20万ドル(約1,624万円))については50%が控除される。事業経験をある程度積んだスタートアップ向け税控除も同様に調整する。

 

 この結果、新スタートアップに適用される実効税率は4.3%、ある程度年数を経たスタートアップは8.1%になる。本来の法人所得税率は17%。

 

賃上げ奨励スキームを20年まで3年延長
生産性の向上を賃上げという形で社員に報いる企業に、賃上げ分の1部を政府が助成する賃金クレジット・スキーム(WCS)を20年まで3年間、延長施行する。交付額は18年が賃上げ分の20%、19年が15%、20年が10%。賃金総額が月4,000ドル(約32万5,000円)未満のシンガポール人社員が対象。

 

 ヘン財務相は「昨年経済は好転したが、事業コストの上昇を懸念している企業もある。賃金はコスト上昇の主因だが、賃金が増えることは国民にとって望ましい」と述べた。

 

 昨年分では、政府は約9万社に8億ドル(約650億円)を交付する見通しだ。恩恵を受ける社員は約60万人。

 

 法人所得税の割り戻しは増額する。18査定年度について、割り戻し率を40%(現行20%)にする。上限額は1万5千ドル(約122万円)(同1万ドル(約81万円))。割り戻しは19査定年度にも適用する。

 

 造船、海洋など、依然厳しい経営が続いている石油・ガス関連企業への救済措置では、外国人雇用税の引き上げをもう1年、延期する。

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