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経済

2010年1月15日

ASEAN-中国FTA、暗雲の中の船出に

〈ペタリンジャヤ〉
東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国との自由貿易協定(FTA)が1月1日、完全施行されたが、中国からの低価格商品の氾濫を懸念するASEAN諸国団体からの反対意見が強く、完全実施へは困難が予想されている。
ASEAN・中国FTAは2001年に行われたASEAN・中国サミットで合意に至っており、その市場規模は人口19億人、国内総生産(GDP)6兆6,000億米ドル(約602兆1,180億円)、貿易規模4兆3,000億米ドル(約392兆2,890億円)規模と、FTA規模世界第3位となる。FTA下ではマレーシアに輸入される中国製品9,000品目以上、中国向けのASEAN製品約7,000品目以上が免税となり、サービス・投資面でも免税となる。
マレーシア華人商工会議所のウィリアム・チェン会長は、地元業者の心構えができていない状況でのFTA実施による中国製品90%解放に異論を唱えており、隣国タイ、インドネシアでも業界からFTA完全施行の延期を望む声が上がっていると述べた。12日付けのインドネシアの「ジャカルタ・ポスト」紙では、インドネシア人学者によるFTAでのインドネシアでの医療・給与・自然資源への弊害に関する記事が掲載されたという。
一方、マレーシア製造業者連盟(FMM)のムスタファ・マンスル会長は、FTAによる地元業者への影響を測るには時期尚早とコメントし、来月にはFTA実施後1カ月目の状況調査のため中国側とマレーシア通産省によるパネル討論会が予定されていることを明らかにした。
メイバンク・インベストメント銀行のチーフ・エコノミスト、スハイミ・イリアス氏は、ASEAN諸国は輸出依存型から国内消費型の経済に転換する時期には至っていないと指摘。また、欧米諸国の需要は、向こう2,3年は低迷すると予想される中、FTA は中国が新興国化してからの地政学的な現実を反映するものだとコメントした。また、世界貿易機関(WTO)の機能が充分でない状況下では、ASEAN 諸国にとっては貿易利益の均等化の面でも地域的FTAの方が好ましい選択だろうと付け加えた。
ASEANでは中国・インドのほか、▽日本▽韓国▽オーストラリア・ニュージーランド--ともFTAを締結している。

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