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文化

2013年10月18日

異教徒の「アラー」使用問題、政権が難しい立場に サバ・サラワク州の反発予想

〈クアラルンプール〉
一神教の「神」を表す語として非イスラム教徒が「アラー」を使用することは認められないとする控訴審判決が出た問題で、非イスラム側のみならずイスラム側からも疑問の声が上がっており、特にキリスト教徒の多いサバ・サラワク州で波紋が広がっている。判決を誘導した形となったナジブ・ラザク政権は難しい対応を迫られそうだ。

判決には国内のイスラム学者のほか、他のイスラム国家からも驚きの声が上がっており、アラブ首長国連邦(UAE)メディアは、「『アラー』はアラビア語源の「神」を表す言葉であり、イスラムの専有物だとする今回の判決は誤り」と断じている。

こうした非常識な判決が出た背景について英BBCは、マレー人票を奪いあう関係にある第一党・統一マレー国民組織(UMNO)と野党の汎マレーシア・イスラム党(PAS)の間に台頭するイスラム右派に媚びて、マレー人有権者受けを狙おうとする競争があると指摘。マレーシアの司法が政治から独立していないことを知っている多くの国内キリスト教徒はむしろ、冷ややかにこうした判決を予想していたと指摘している。

ナジブ首相がイスラム主義を抑える力がないことを露呈した形だが、法律専門家の間では、同時にキリスト教徒の多いサバ・サラワク州に対して与党政府がネガティブなメッセージを送ることになったとの指摘があがっている。元々別の国だったサバ・サラワク州がマレーシアと合併した際には、信仰の自由を担保することが暗黙の条件であり、今回の「アラー」判決はこれを裏切るものでしかない。5月の総選挙で与党連合・国民戦線(BN)の約3分の1の獲得議席を稼ぎだした票田であるサバ・サラワク州を失うリスクが強まることが予想され、ナジブ首相は難しい対応を迫られそうだ。

サバ・サラワク州ではマレー語版「聖書」(アルキタブ)が広く普及しており、これには神を「アラー」と訳している。雑誌での「アラー」使用禁止を定めることになれば、サバ・サラワク州だけを例外にするわけにはいかなくなり、マレー語版「聖書」にも適用されることは必至。違反すれば罰則を科す必要が出てくる。法律専門家からは、本来軽々しく法的に争うべきものでないことを裁判沙汰にした与党政府のやり方に問題があったとの声も上がっている。

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