シンガポール建築家協会(SIA)と米系企業Getzグループは、10月24日、今年度のSIA-Getz建築賞に日本人建築家の阿部仁史氏が選ばれたと発表した。
SIA-Getz建築賞は、アジアの若手建築家による建築物がより広く認知・評価されるようにと2006年に設置されたもので、2年に1回選考を行っている。今回は日本、中国、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、スリランカ、タイの8カ国から13名の建築家がノミネートされた。
阿部氏は、宮城スタジアムや、苓北町民ホール(熊本県苓北町)、菅野美術館(宮城県塩竈市)などのほか、クリニックやレストラン、住宅など、これまでに大規模なものから小規模なものまで様々な建築を手がけているが、その土地や環境をコンセプトにした建築や、環境に配慮したアプローチ、デザインの最終形にたどり着くまでに顧客や地元コミュニティとのコミュニケーションを密に取りながら、独創的でユニークなデザインを取り入れる氏のスタイルが高く評価された。また、建築の実務に携わる一方で、東北大学、UCLAなどで教鞭を取り、教育に力を入れている点も評価が高かった。
24日にホートパークで開催された受賞式で、デザイン・シンガポールのチェアマン、ロバート・トムリン氏から阿部氏にメダルと賞金30,000米ドルが授与された。阿部氏は次回から同賞の選考委員に加わる予定。
阿部仁史
阿部仁史アトリエ代表、UCLA建築・都市デザイン学科 学科長。
宮城県出身。東北大学で建築学を学ぶ。南カリフォルニア建築大学で1989年に修士号を得た後、1992年までロサンゼルスのコープ・ヒンメルブラウのアトリエに勤める。1992年に東北大学で建築学の博士号を獲得し、同年、仙台に阿部仁史アトリエを設立。代表作に宮城スタジアム(2000年)と苓北町民ホール(2002年)などがある。また、建築関連の著書、共著も多数。
《阿部仁史氏インタビュー》
AsiaX SIA-Getz建築賞の受賞をお聞きになった時のご感想は。
阿部 聞いたのは数週間前で、大変驚きました。アジア全体の建築家を対象にした賞というのは他にありませんので、非常に光栄ですね。
AsiaX 海外で活動されていて日本人建築家として強みを感じられる点は?
阿部 2007年にUCLAに移ってからは、1年の3分の2はロサンゼルス、残りの3分の1は日本という生活です。日本人は空間に対する感覚が繊細だと思います。また、新しいライフスタイルを取り入れたり、思い切ったことができると感じますね。日本人のデザインする建築は未来的だと思います。西洋的な生活スタイルを見直すことにもつながっているのではないでしょうか。
AsiaX 建築の実務に携わりながら、大学での教育にも力を入れていらっしゃいますね。
阿部 建築の仕事と大学の仕事は割合的には半々ぐらい。アメリカ留学中に一流建築家でありながら大学で教えている人達をたくさん見てきたので、自分にとってはそれが自然なことでした。
AsiaX シンガポールにも日本人建築家の方が手がけられた建築がありますが、今後東南アジアでのプロジェクトの予定は?
阿部 今のところ具体的なものは特にありませんが、チャンスがあれば是非やってみたいですね。
AsiaX これから建築家を目指す方や若手建築家の方へメッセージをお願いします。
阿部 自分の身の回りを眺めながら、よく観察して欲しいですね。デザインを特別なことと考えないで、生活の一部として取り組んでみてください。
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