〈クアラルンプール〉
野党連合・人民同盟(PR)を率いるアンワル元副首相が政権交代に必要な議員数の確保に成功したと宣言、平和裏の政権交代に向けアブドラ首相に会談を求めているが、アブドラ首相はまず、野党連合にくら替えした与党連合・国民戦線(BN)所属議員の名前を明かすことが先決だとして、会談には容易に応じない方針だ。
アブドラ首相は9月16日、アンワル氏が31人のBN議員が野党へのくら替えに同意したと述べたことについて「そういった事実があるのならアンワル氏は名前を公表し、すべての国民に知らせるべき。国民は自分の意に染まぬ政党にくら替えする議員が誰か知りたいだろう」とコメント、アンワル氏がBN議員の寝返り話をでっち上げているとし、「それが彼(アンワル氏)との会談に応じない理由だ。もし会ったら彼は話を作り上げ、私が同意したと吹聴するだろう」と述べた。
その上でアブドラ首相は、政府が苦し紛れに非常事態宣言の発令や国内治安維持法(ISA)でくら替え議員を逮捕する可能性があると噂されていることについて「馬鹿げた主張だ。彼は我々を独裁政権に仕立て上げたいのだろう」と言明。アンワル氏が実態がないにもかかわらず心理作戦でBN議員の動揺を誘って、連鎖反応的にくら替えの動きを加速化させようと図っていると批判した。
一方、アブドラ首相との会談が実現した際に寝返り議員の名簿を明かすとしているアンワル氏は、あくまで政局の安定とスムーズな政権委譲を目指すためだとしており、ただちに明かせない理由についてはくら替え議員が拘束されたり嫌がらせに遭う恐れがあるからだと説明した。事態が膠着した場合に国王に仲介を求めたり内閣不信任案を提出したりする可能性については、野党連合幹部で検討することになると述べるにとどまった。
■内閣不信任案や国会解散に至る可能性も■
アンワル氏が主張する通り、野党連合がBN議員の抱き込みに成功したとすれば、アブドラ首相が話し合いに応じない場合は、10月に再開する国会で内閣不信任案を提出するものと予想される。内閣府不信任案が可決されれば内閣総辞職となり、国王がアンワル氏を次期首相に指名することになる。
内閣不信任案が出された場合、アブドラ首相が国会解散を宣言する可能性もあり、その場合は今年3月の総選挙から1年も経たないうちに再び選挙が実施されるということになる。
もちろんアブドラ首相が指摘するように、十分なくら替え議員の確保ができなかったためにアンワル氏がハッタリをかませた可能性もあると見る向きもあり、準備をすすめるための時間稼ぎをしたのではないかとの声もある。