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やさしい中医学

2007年5月7日

中医学の基礎・陰陽について

前回も触れましたが、中医学の基礎となるものには、陰陽学、五行学、臓府学、経絡学というものがあります。中医学では、病名(高血圧、風邪、胃潰瘍等)より、身体に現れている症状を重視し、上記の論理に基づいて症状を分析し、治療方針を決定していきます。陰陽学と五行学は、耳にされたことがあるかと思いますが、簡単に言うと存在するものを組分けする方法です。天地の分かれる前の世界を「太極」と言い、この太極が動いて陽が生まれ、沈んで陰が生まれ、天地が出来たと古人は考えました。そして全ての存在は、両局面を持ち合わせているとし、陰陽学が発展しました。陰と陽の組分けは解かり易いのではないでしょうか?只一つ覚えておいていただきたいのは、陰はただ陰ではなく陽もただ陽ではなく、各々の中にも陰陽があるということです。例えば、夜は陰ですが、朝に近づくにつれて、陽の要素も含まれてきます。

 

陰に分けられるものは、地、女、右、裏、入、夜、寒、血など。陽は、天、男、表、出、昼、熱、気などです。「陰」と言うと、どこか暗いイメージがありますが、中医学では「休息、栄養」と言う意味があり、反して「陽」には「活動、消耗」と言う意味があります。活動の後は休息、栄養を取ったら消耗させる、というようにして陰陽のバランスが保たれていくわけです。どちらかが過剰になったり、不足したりすると身心に病となって現れます。

 

これらの陰陽の作用を人付き合いにおきかえると、人間は皆平等、支え合い、制約し合い、時には立場を換え、相手を励ましたり、励まされたりと、関係を保って友情、愛情を育てていくのと同じではないでしょうか。

 

中医学の治療において、症状からまず見極めることは、身体の陰陽の偏りがどうなっているのか、どんな理由でそうなっているのか、陰が多すぎて寒いのか、陽が不足しているから寒いのかということです。そして上記した陰陽の作用が整うように、過剰なものは除去し、不足しているものは補い、症状に抵抗して頑張っている機能は助けてあげるような治療法を選択していきます。その方法は、中薬(漢方薬)、鍼灸、整骨、気功、運動、食事法などです。例えば、喉が渇くという症状が起きている原因が身体の火照りであれば、火照りを除去することに重点がおかれ、陰(体への水分、体液)を補うことは補佐となります。逆に陰が足りない(水分不足)の場合は、火照りを取るのと補うのと両方に重点を置き、体に陰が行渡るように機能を助けて渇きを治していきます。この機能は陰陽の入(陰)出(陽)、下(陰)上(陽)の他に、五行学、臓腑学が関係してきます。次回はその五行学について説明します。

 

文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)

 

1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.097(2007年05月07日発行)」に掲載されたものです。

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