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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2013年5月20日

オフィスを借りる(その2)

シンガポールでオフィスを借りる場合の注意点を、前回に引き続きご説明します。

 

7.小さいサイズのユニットは限られる

ビル(家主のポリシー)により最小面積が異なりますが、”Class A”と呼ばれるいわゆる一流ビルほど、最小単位は大きくなります。マリーナ・ベイなどの一流物件の場合、通常2,500平方フィート未満には区切ってくれません。その他一般のビルでは、最低面積が1,000~1,500平方フィートの物件が多く、ごく限られたビルに500平方フィート程度のユニットが存在します。

 

8.家具のサイズが日本より大きめなので注意

当地で一般的なドア、事務机、会議用テーブル、応接セット等は、日本と比べて大きめです。建具に用いられる合板も、日本では3尺×6尺(約90cm×約180cm)なのに対して、海外では4フィート×8フィート(約122cm×約244cm)が標準です。日本で60平米(645平方フィート)程度のオフィスと同様の収容人員のものを当地で作ろうとすると、90平米程度(約1,000平方フィート)必要です。

 

9.オフィス探しは3~6ヵ月前からが普通

家主からのユニットの引渡し条件は、Bare(スケルトン渡し)です。通常、賃貸面積に応じて、1~2ヵ月程度の無料改装期間を貰えます。業務開始を10月1日とすれば、改装期間を1ヵ月としても、それに先立つ物件内見・選定・家賃交渉・社内手続きなどを考慮すると、最低3ヵ月前、つまり7月1日にはオフィス探しを開始していないと間に合いません。また、3,000平方フィートを超えるようなスペースの場合は、4~5ヵ月前から探し始めたほうが無難です。

 

10.再開発(=借主追出し)条項

土地が希少なシンガポールでは、特に一等地の場合、古いビルを取り壊して再開発する案件が多く、その為、家主が3ヵ月程度の告知期間で借主を補償無しで追い出せるRedevelopment Clause(再開発条項)を賃貸契約に織り込むのが一般的です。賃料が安価だというだけで物件選定をすると、契約更新はおろか、契約満期前に追い出されかねません。

 

11.賃貸相場は軟調に

グラフは、1998年第4四半期を100としたオフィス家賃相場推移です。欧米金融機関の賃貸意欲減少などもあり、相場も借手市場に変わりつつあります。オフィスの移転や拡張を考えるなら、今がチャンスです。

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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.234(2013年05月20日発行)」に掲載されたものです。

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