シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP今年の住宅家賃相場動向:今後、上がるのか、下がるのか?

シンガポール不動産「耳寄り情報」

2013年9月16日

今年の住宅家賃相場動向:今後、上がるのか、下がるのか?

1.人事異動が定期異動に回帰

ここ数年、厳しい経済環境もあってか、年中五月雨式の不定期人事異動・転勤が多かったのが、昨年末以降、多くの日系企業が年度替わりなどの「定期異動」に復帰の傾向が顕著となりつつあります。アベノミクスの効果で、企業業績も改善・安定してきた結果、非常時異動が消滅しつつあるのかもしれません。しかし、住宅の賃貸相場からすると、特定時期に引き合いが集中するために、

・相場の短期的高騰

・不動産業者や引越業者が引合いに対応しきれない時期ができる状況

につながっています。

2.家賃相場は依然として高止まり

政府(URA, HDB)が発表している公式統計は折れ線グラフの通りです。一番上のピンクの線は、民間住宅の売買価格指数。2番目の青色の線はHDB転売価格指数。3番目の赤の線が民間住宅賃貸指数。2013年第2四半期は、民間住宅「売買価格」指数は1年前(2012年第2四半期)と比べ約4.1%上昇。2年前(2011年第2四半期)と比べると約6.1%の上昇となっています。

民間住宅「賃貸料」指数の推移は、1998年Q4を100として右表のように推移しています。2年前と比べると約4.5%、1年前と比べると約2.8%の上昇となっています。

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3.賃貸料はレンジ別に相場(需給)に相異

欧州の経済危機や欧米金融機関の経営不振を主因として、その駐在員を主な借り手とする月額賃貸料S$8,000以上の物件は、賃貸相場も軟化傾向にあります。かたや、S$7,000台以下の物件、特にS$5,000台以下の物件は需要堅調で、相場は依然ジリ高基調。

4.HDB政策の変更が更に民間物件賃貸料を押し上げる

HDB価格の高騰が、大きな社会問題・政治課題となる中、シンガポール政府は、HDB価格抑制追加策として、「新規永住権取得者は当初3年間はHDBを購入できない」新政策を8月27日から即日施行しました。

その結果、年間約2万人と言われる新規永住権取得者のかなりの数が、賃貸物件に流れるとみられ、特に民間の安価な賃貸物件の家賃をさらに押し上げるとみられています。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.242(2013年09月16日発行)」に掲載されたものです。

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