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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2014年1月20日

今年の賃貸相場:オフィスも住宅も上げ・下げ「綱引き」相場?

昨年は、アベノミクスによる景気回復を背景に、”China+1”のリスクヘッジ思考、さらには急成長するASEANの上げ潮に乗り遅れるなという機運の高まりから、日本から東南アジアへ新規進出される方が多く、弊社にとっても、特にオフィスや店舗のご紹介で大変慌ただしい年でした。かたや、日本の5倍厳しいといわれる宅建法がシンガポールで施行され、特に当地宅建資格保有者の限られる日系不動産仲介業は、大変厳しい人員繰りを強いられました。 2014年も、日系企業の新規進出、事業拡大トレンドは続くと考えられます。

 

※日本では不動産営業マンの最低5人に1人の宅建資格保有が義務付けられているのに対し、シンガポールでは全員必要。

 

現在までの住宅賃貸相場推移

グラフは、シンガポールURA(都市再開発庁)の指数です。98年第4四半期を100とすると、2013年第3四半期の民間住宅売買価格が216.3、同HDB転売価格が204.8、民間住宅賃貸料が 164.8となっています。

民間住宅賃貸料は、月額賃料8,000ドル以上の物件が「弱含み」、特に1万ドル超の物件は「下げ」局面。その反面、7,000ドル台以下の物件は、依然「強含み」ないし「保ち合い」の状況です。比較的賃料の高い住宅を選ぶ欧米企業の駐在員数が減少、日本を含むアジア系企業の駐在員数が増加傾向であることが背景とみられます。

 

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なお、例年2~4月は日系企業の春の異動のピークです。経済変動による相場の上げ下げとは別に、季節要因として年間で最も家賃が高くなるのでご注意ください。 特にスクールバスルート沿いの限られた物件を新規赴任者が競って探すのに対し、3月末に帰国する駐在員の物件は4月半ばにしか市場に出てこないことも多く、タイミングのずれもタイト感を強くします。

 

現在までのオフィス賃貸相場推移

グラフは青が中心部のオフィス賃貸料、赤は郊外のオフィス賃貸料、黄は空室率です。中心部のオフィススペース賃貸料はここにきて、若干値戻しに転じています。老朽化ビルの再開発でストックが減少していることも、原因の一つとみられています。

 

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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.250(2014年01月20日発行)」に掲載されたものです。

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