シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールでの住まい探しの「落とし穴」(その1)

シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年4月20日

シンガポールでの住まい探しの「落とし穴」(その1)

パシフィック不動産は、今年で創業40周年を迎えます。日々の業務を通じて遭遇した「住まい探しの落とし穴」を、まとめてみました。

 

1.家主はどんな人?

当地では宅建法の規制もあり、家主側エージェントと借主側エージェントが別々のため、住宅の内見の際もそうですが、契約交渉時にも、家主がどのような人なのかについて、概して無頓着になりがちです。しかし、アパートの内装や家具、施設などに心を奪われて契約・入居したものの、入居後の家主の対応が不親切だと、2年間苦しむことになります。プライバシー保護もあり、家主の個人情報を得ることは容易ではありませんが、契約に署名する前には、家主がどのような人なのか、確認しましょう。

 

2.「家具付き」より「家具無し」の方が退去時のクレーム・リスクが少ない

退去・明渡し検査の際、家具無しや家具一部付き(Partially Furnished)のほうが、家具付き(Fully Furnished)と較べて、家具の分だけ、クレーム対象が少なくなります。特にイタズラ盛りのお子様がおられる場合、家具へのダメージを皆無にするのは、不可能です。家具は、購入以外にレンタルすることも可能で、家具レンタル業者は、一般の家主と比べて寛容です。

 

3. 予備の冷蔵庫があると安心

常夏の国ではエアコンが故障すると大変不便ですが、全室ダウンするわけではありません。より深刻なのは冷蔵庫の故障です。特に冷凍食品は全滅してしまいます。小さくても予備の冷蔵庫(冷凍庫付き)があると安心です。家主が2台目を提供することは稀ですが、最近の冷蔵庫は安価です。ガレージセールで売買することも可能です。

 

4. 窓からの転落防止策

最近の物件では、室内段差は少なくなりましたが、依然として窓やバルコニーからの転落リスクはあります。小さいお子様を帯同する場合には、まずは安全第一。概して家主は、窓枠への格子設置を好みませんが、そんな場合は、窓の開閉を制限するChild Lockの設置を交渉してみましょう。なお、美観から、一部アパートの管理組合が、格子設置を禁止していましたが、これには政府が介入し、このような禁止規定は無効と判断されています。

 

5.家主の火災保険は、借主の失火責任はカバーしない

当地では木造建物は少なく、また、暖房器具も使わないので、日本と較べて火災や類焼のリスクは小さいですが、日本人がお住まいのアパートでの失火事故も皆無ではありません。それらの大半は台所から出火するボヤです。

なお、日本とは異なり、家主が火災保険をかけていても、借主に過失がある場合、借主免責とはならず、賠償責任を負うことになりますので、注意が必要です。

 

6.高層マンションで携帯電話が繋がりにくい

コンドミニアムで30階を超えるような高層にお住まいの場合、ユニットによっては携帯が繋がりにくい場合もありますので、ご注意ください。携帯電話会社(の基地局の状況)によっても、受信状態は変わるようです。

 

(アジアエックス5月18日発行/Vol.280に続きます)

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.278(2015年04月20日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールでの住まい探しの「落とし穴」(その1)