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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年6月15日

シンガポールでの住まい探しの「落とし穴」(その3)

13.夜間騒音(道路騒音)

交差点に面してはいるが、他の諸利点を考慮して気に入って決めた物件に入居。いざ就寝しようとしたところ、夜の騒音の大きさで、不眠の毎日が続くことに……。と言っても、騒音の受忍限度には個人差もあり、また、家主に瑕疵がある訳ではなく、無罰で契約解除はできません。契約前に夜間の状況を見に行くべきだったと後悔することになります。

 

14.夜間騒音(ディスコから大音響)

入居前に気付かなかったが、近くにディスコがあり、夜中まで大音響を出している。特に窓を開けて寝ていると、音が気になって寝られない。こちらは、ディスコに営業条件違反があれば、関係官庁に取り締まってもらえるので管理事務所に相談してみましょう。ディスコの騒音限度違反や営業許可時間超過が認められ、悪質な場合は近所のKOBAN(交番:Neighbourhood Police)に駆け込むことも考えましょう。違反現場を押さえる必要があるので、昼間に行っても即効性はありません。

かつてはモハメドスルタン・ロードにディスコが乱立しており、近隣のコンドミニアムに住む日本人も結束して警察に苦情を申し入れたところ、今ではディスコは無くなくなりました。

 

15. 上階居住者の生活音が気になる

隣接ユニットのピアノの音がウルサイ。ペットの吠え声がウルサイ。夜間に上階の子供の足音が気になる。生活音の種類にも色々有り、それぞれ取り扱いが異なりますが、集合住宅という性格上、居住者がお互いに思いやる、我慢すること(spirit of community living) が求められています。しかし限度を超えていると思われる場合、当事者同士で直接口論せず、管理事務所の協力を得て穏便に対処するのが基本。それでも収まらない場合は、法的手段に訴えることもできますし、監督官庁の国土開発省区分所有監督局(The Strata Titles Board)に判断を求めることも可能です(ただし、子供の足音や排水音などについては、禁止命令を得ることは、まず不可能です)。

 

16.家主からの内見協力依頼

通常、契約終了の2ヵ月前から、家主には、後釜テナントを探すため、借り主に対して内見の許可を求めることが認められています。借り手にとっては、帰国前の忙しい中、誠に鬱陶しいですが、これをむげに拒絶し続けると、最悪は家主の機会損失に対するクレームとして、敷金が没収されることにも繋がりかねません。

借主側には安寧居住権が認められていますが、それをもって内見の要請を毎回拒絶する根拠にはなりません。幹部駐在員が単身入居していて、出張などで頻繁に不在の場合といえども、スタッフが協力をするなどして内見の機会を与えないと高額の機会損失クレームになりえます。

 

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.282(2015年06月15日発行)」に掲載されたものです。

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