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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2004年12月27日

『マツダはなぜ、よみがえったのか?―ものづくり企業がブランドを再生するとき』宮本喜一

photo-14トヨタや日産に関する本なら、店頭に並びきれないほど出版されているが、マツダを企業として扱った本は今までほとんどなかった。つまりマツダをテーマにした本など売れない。この事実こそがマツダ低迷の原因を如実に表しているのではないかと思う。技術的にすぐれて魅力ある車を製造していても、その魅力をうまく伝えてこなかった。言いかえればブランド戦略が下手であったのだ。

本書の前半は、RX-8開発の物語が占める。RX-8とは2003年に発売された4ドアスポーツカー。当初技術者たちは経営側から提示された4ドアという条件に難色を示したが、次第に理解して技術的な難題を次々にクリアしてゆく。著者はここでマツダの技術力を証明し、マツダに足りなかったのはブランド戦略であったことを強調する。

後半ではフォード傘下でいかに再建を図ったかが語られる。90年代初頭、「ユーノス」「アンフィニ」といったブランドを販売店に冠し、拡大を図ったが失敗。これにより「マツダ」ブランドが希薄となった。そこでフォードは、販売店の再編や車種の絞込みによってブランドの確立を図る。マーケティングの専門家である著者はマツダ車のファンでもあり、随所にマツダ車への愛が感じられる。最後にRX-8の宣伝に関して苦言を呈しているが、これはまるで愛のメッセージのようでもある。

 

日経BP社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.026(2004年12月27日発行)」に掲載されたものです。
文=親松

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