2005年1月31日
『PLUTO 第1巻』浦沢直樹
メロンソーダが好きでアイスクリームが好きな僕らだったら、勿論クリームソーダはもっと好きに違いないのだ。今回紹介する『PLUTO』はつまりそういう作品。
マンガの神様手塚治虫の『鉄腕アトム-史上最大のロボット』を、『MONSTER』『20世紀少年』で世界からも評価を受けた天才浦沢直樹が大胆にアレンジするのだから、手塚作品が好きで浦沢作品も好きな我々がハマることは約束されたようなものだ。
実際、第1話を読んだだけで「次どうなんの!?」状態。オリジナル版を既に知っている人も楽しめる。まさか主役からしてオリジナル版と違うとは…普通は予想できない。だから続きも読みたくなる。この辺りにリスペクトしつつもタダでは終わらないという浦沢直樹の意気込みが伝わってくる。話の雰囲気も『MONSTER』『20世紀少年』に通ずる重厚さで、これらの作品が好きな人にはたまらないだろう。何より浦沢版アトムは必見だ!
今まで手塚・浦沢作品を読んでいない人も神様と天才のガチンコ勝負をぜひ見届けてほしい。そう「マンガなんて」と思っている人ほど特に。現在第1巻しか刊行されていないので、今ならまだ間に合う。
小学館
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.030(2005年01月31日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール本店 古矢