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2005年3月7日

『キャッシュカードがあぶない』柳田邦男

photo-6銀行の預金が知らぬ間に、何者かによって引き出されている。そんな被害が多発しているのはご存知のことでしょう。そして特殊な機材によるスキミングや、ゴルフ場のロッカーからカードを盗む犯人の手口などは、テレビなどでも報道されています。しかし、この本を読むと、この問題の根本は、銀行や警察、さらに行政の怠慢にあるということがわかります。銀行は被害者に責任を押し付け、補償はしない。警察は被害者を犯人扱いする。行政は消費者保護のための法律制定を怠ってきた。本書では被害者の証言をもとに、多くの実例が紹介されていますが、どれをとっても、銀行や警察の対応があまりに無責任であることにあきれてしまいます。簡単に見破られる暗証番号、不自然な引き出しにチェックがかからないATMなど、対策を怠った彼らの落ち度は明確であるのに、法律を盾に決して誰も責任を負おうとしない。著者はさらに外国の例をとり、日本の預金者保護がいかに遅れているかを指摘しています。最近ようやく政府や銀行も重い腰を上げ始めたようですが、昨年この問題を追い続けていた本書の著者が果たした役割は大きいでしょう。

 

文藝春秋

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.034(2005年03月07日発行)」に掲載されたものです。
文=親松

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