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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2005年5月9日

『ユージニア』恩田陸

photo-11ヤラレタ!おかげで睡眠不足。寝る前に読み始めたのが運の尽きで、読み進めるのを止めることができなかった。 手に取った理由は、装丁が面白かった、ただそれだけ。カバーが凝っていて、始まりは白く終わりは黒、冒頭部分は大きさが不揃いな頁で構成され、しかも本文は少し斜めになっている。何だ、これは?というのが手にとった最初の感想。何の予備知識もなく、恩田陸の本も読んだことがなかったが、プロローグが気になった。だから、買った。

随所にヒントや伏線がある。でも、基本的に読み解くのは個々の読者であり、結論は読者に委ねられている。翌日も仕事なのに、もう1度最初から読み返してしまった。その翌日も気になった部分を読み返し、結局、3日で4回読んだ。

当惑、混乱、整理、推測、また当惑。読んでいる最中は不思議な感じがする。読んでいるのが楽しく、読み終えるのがもったいなかった。

答えは1つではないのかもしれない。読者の数だけ答えがあるのかもしれない。他の読者と意見交換がしたい。

面白いけど、寝る前には読まないほうが良い。翌日、睡眠不足になってしまうから。また、あまり深く考えないで物語を楽しみたいという人には、オススメしない。

 

角川書店

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.043(2005年05月09日発行)」に掲載されたものです。
文=茂見

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