シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―身近な疑問からはじめる会計学』...

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2005年5月30日

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―身近な疑問からはじめる会計学』山田真哉

photo-8『儲けのカラクリ』といった種類の本は実に多い。この商売にはこんなウラがあったのかという驚きの事実を紹介する本である。だがこの本は、それらとは少し違う。そういったウラの事情を会計の面から説明して、知らず知らずのうちに会計とは何かを教えてくれるという画期的な本だ。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」この答えは、実はそれほど驚くようなものではないが、会計的に考えるとこうなりますよという解説の仕方をしている。私のように会計を知らないものにとっては、それがとても新鮮な視点に感じられるのだ。会計を知るということは、物事を見るための新しい視点を与えてくれるということなのだと、この本は教えてくれる。他にも、「ベッドタウンに高級フランス料理店の謎」など、章ごとにいくつかの疑問に応えていくというしくみになっている。やや話の展開に無理がある点もあるが、身近な疑問から始めようという試みは成功している。用語の説明から始まるような小難しい会計入門書ではなく、ウラのしくみをいやらしく紹介するような本でもない。そういう意味で新しい本であり、よく売れているのも納得である。

 

光文社新書

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.046(2005年05月30日発行)」に掲載されたものです。
文=親松

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