シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『靖国問題』高橋哲哉

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2005年9月19日

『靖国問題』高橋哲哉

photo-17衆議院選挙で自民党が大勝した。これが良いのか悪いのか歴史が判断することだが、個人的には、今後の小泉首相の靖国参拝がどうなるのかも気になるところ。そこでふと思ったのだが、結局何が問題の焦点なのだろうか? 知らないことを自慢するわけではないが、靖国神社に限らず太平洋戦争そのものが何だったのか、詳しく語ることができない。海外にいるとしばしば感じるが、母国について自分の言葉で語れないのは何とも情けない。前者は、感情、歴史認識、宗教、文化、国立追悼施設という5つの視点から靖国問題を考えている。A級戦犯合祀に至った経緯について知りたかったのだが、それについては殆ど記述がなかったのは残念。中国や韓国との摩擦を避けるために分祀すれば良いのにと常々思っていたのだが、既に中曽根内閣時代にそれを試みていたということを本書で知った。但し、靖国神社が強硬に反対し、一方で政教分離の憲法原則に違反するため政府が強要することができなかったため、結局立ち消えになってしまったようだ。

 

筑摩書房

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.059(2005年09月19日発行)」に掲載されたものです。
文=茂見

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