2005年11月21日
『見える化 強い企業をつくる「見える」仕組み』遠藤功
「見える化」とは何か。言い換えれば、現場を中心に、実際に目で見て問題解決を図るということである。例として挙げられている企業活動は、ナレッジマネジメントであったり、顧客アンケートであったり、または5Sと呼ばれるものに近かったり、内容的には新しいことではない。
当該の企業も、何も「見える化」を実施しようとして行っているわけではないだろう。だがそういった事例を「見える化」という概念から考察することで、もう一歩踏み込んで分析しさらに応用につなげようと試みている。たとえば、わかりやすい例では以下のような取り組みが挙げられている。某住宅設備メーカーでは、顧客からのクレームをデータベース化し共有できるようにしたが、誰もアクセスしない。そこで、そういったクレーム情報を紙に出力し掲示板に貼り出したところ情報共有が進んだという。ここでは、ITを過信しないように戒めている。このように示唆に富む例が満載で、数ページ読むごとに深く考えさせられてしまった。どれもすぐに現場へ応用ができそうなものばかり。すべての現場担当者におすすめである。
東洋経済新報社
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.063(2005年11月21日発行)」に掲載されたものです。
文=親松