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2006年6月19日

『東京タワー』リリー・フランキー

photo-9月並み表現だけれども「悲しいな」というのが感想である。勿論、悲しいだけでなく凄く温かさもあるのだけれど、やっぱり「悲しいな」という気持ちになってしまった。

リリー・フランキーが家族、特にオカンに対しての幼い日からの想いをその死まで綴ったこの作品だが、自分自身もそうだけれども10代の頃、親はひたすらぶつかって行き、迷惑をかける為に存在するようなもので、しかもそこに遠慮など全く無い。それが少しずつ親も自分も年を取り、或る日もう遠慮なくぶつかる事が出来なくなってしまった事に気付いた時、本当に橋の下を沢山の水が流れたのだなと感じる。しかし、そう感じてしまった日からまた新たな家族の絆を紡いでいくのだと思う。それをこの東京タワーという作品は非常に良く描いている。九州の田舎で独り暮らすオカンを「オカン、東京に来るね?」「そっちに行ってもいいんかね?」と東京に呼び寄せ、そしてそれから死に至るまでの数年のオカンとの東京での日々、悲しく、けれど温かい、でもやっぱりどこか悲しいこの日々…、家族とは、親子とは、と考えさせられる作品でありました。是非、ご一読を。

 

扶桑社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.076(2006年06月19日発行)」に掲載されたものです。
文=リャンコート店 里見

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