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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2007年7月2日

『バッテリー(1~6巻)』あさのあつこ

photo-4ようやく最終巻を読了。文庫で全6巻と巻数だけは多いものの、もともとは児童小説なのでストーリーは単純。一言で説明すると、中学に入学したばかりの野球少年の話。人付き合いは苦手だが、ピッチャーとしての才能に恵まれた少年が、引越先の新しい街で理想とも言えるキャッチャーに出会うことから物語は始まる。

読んでいる最中に、俵万智の「青春という字を書いて横線の多いことのみなぜか気になる」という短歌をふと思い出すような感じで、「青春」という陳腐な言葉が脳裏から離れなかった。

才能溢れる野球少年だったことは一度もないが、もう20年以上も前のことを思い出す。今考えると非常にバカバカしいことに対して深刻に悩んでいたこととか、連れ立ってくだらないことをした友人たちとかを懐かしく思う。特に、当時の友達たちとの何でもない付き合いが懐かしい。学校でも一緒、学校が終わっても一緒と、今となっては何故あんなにずっと一緒にいることができたのか不思議に思う。

かつて少年だった人たちにも、その子供たちにもお勧めしたい。一人で楽しむのも良し、親子で楽しむのも良し。

 

角川文庫

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.101(2007年07月02日発行)」に掲載されたものです。
 文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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