2007年7月30日
『幽霊を捕まえようとした科学者たち』デボラ・ブラム
個人的な話で恐縮ですが、私、高校時代は水泳部に所属していました。約100年近い歴史を持つ我が水泳部には、その歴史の長さ故か「本当のような嘘」「嘘のような本当」の話がプールのそこかしこから出てきます。その中のある一つの話を書きたいと思います。
我が水泳部のプールにはかつて雷が堕ちたことがあり、その時、雨の中練習に励んでいた一人の水泳部員が亡くなってしまったそうなんです。その水泳部員が時に幽霊として泳いでいた第2コースに出るとか…。ターンをしようと前を見たその時、その目の前に、死んだ水泳部員が水の中でじっとこちらを見ている、という信じたくも無い恐ろしい話でした。そんな話を聴いた後では、はっきり言って練習どころではありませんでしたが、練習をサボると先輩に怒られるので暫らくは目を瞑って泳いでいたものです。
ということで、そんな恐ろしい幽霊を捕まえようとした何とも頼もしいゴーストハンター達の本が本書です。科学で幽霊を捕まえられるのか?宗教と科学の和解を目指した時代の科学者達の姿が滑稽であり、どこか悲しげな本です。
文藝春秋
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.103(2007年07月30日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール本店 里見