シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『マイクロソフトでは出会えなかった天職』ジョン・ウッド

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2008年1月14日

『マイクロソフトでは出会えなかった天職』ジョン・ウッド

photo-21マイクロソフト社で働いていた著者が休暇中にネパールへ行った際、そこで偶然にネパールの教育環境について知る。ネパールの非識字率は70%。ある学校を訪れた著者は、その学校の図書館を見て驚く―図書館にあるはずのものがない…本がない。

正確には20冊ほどはあった、南京錠のかかった古い戸棚の中に。ダニエル・スティールの恋愛小説、ウンベルト・エーコの分厚い小説(イタリア語)、ロンリープラネットのガイドブック(モンゴル版)…。しかし、この学校にとって本は貴重な「宝物」、だから子どもたちが傷めてしまわないように、カギをかけていたのだ。

子どもたちに本を読む習慣を教えたい。でも、教えるための本がない。勉強したいと思っても、近くに学校がない。あっても学校には本がない。お金がない。生まれた場所によって本すら読むことが出来ない―そんな状況を変えたいと、著者はマイクロソフト社を辞め、キャリアも高収入も恋人も捨て、慈善団体を立ち上げ奮闘する。

私たちにとって当たり前であること。本を読むことができる、勉強することができるということは、ある人たちにとっては、幸せなことであり誇りでもある。そんな「幸せ」の橋渡しをする著者の活動によって希望を得た人々の姿が、目に浮かぶ。

 

ランダムハウス講談社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.114(2008年01月14日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家

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