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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2009年7月20日

『海辺のカフカ(上・下)』村上春樹

photo-4村上春樹の「1Q84」が売れている。よくよく考えてみると村上春樹の作品は「アンダーグラウンド」以外、まともに読んだことがない。そこで、とりあえず「海辺のカフカ」を読んでみることにした。

不思議な物語だった。まだ一度しか通読していないが、完全に理解できたとは思えない。著者は意図的に全てを解明することを避けて、多くを読者の解釈に委ねているのであろう。

登場人物全てが何かのメタファーなのであろうか?ジョニー・ウォーカーは何故に登場しなければいけなかったのだろうか?現時点の私には回答できない。時間をかけて咀嚼し、必要に応じて再読しないといけないと感じさせられた。そういう意味では、久しぶりに読み応えがある小説に出会って嬉しく思う。

心に残ったのは、アイヒマンの裁判について書かれた本に対して、イェーツの詩を引用した大島さんのメモ。アイヒマンについては、伊坂幸太郎の「モダンタイムス」にも出てきていたので、後で関連書を読んでみたい。

 

新潮社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.149(2009年07月20日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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