2010年4月5日
『夏への扉』ロバート・A・ハインライン
「ぼくの飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探し始める。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた……」夏への扉、この言葉に何とも言えず魅かれ、手にとった。
友達に裏切られ、恋人に捨てられ、生きる希望も無くしていたダニィ、唯一の友達は猫のピートだけ……そんな彼が何とか友達と恋人の鼻をあかしてやろうと、冷凍睡眠(コールドスリープ)カプセルに入り、時空をこえて奮闘することに……。
SF作家として人気の高いハインラインの中でも傑作と言われる本作、一気に読ませるその構成と爽快な読後感は堪らない。一年中夏のシンガポールではあるが、夏への扉を求めて読んでみては如何でしょうか。
早川書房/ISBN:9784150117429
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.164(2010年04月05日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見